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成長モデル
こんにちは花野です。
今回は「グレイナーの組織成長モデル」という考え方を知ったので、
それについて書いてみようと思う。
きっかけは、先日の飲み会で品川さんがこのモデルの話をしていたことだった。
企業の成長に伴って、組織の構造や課題がどう変化していくかを説明したフレームワークらしい。
有名なモデルのようだが、私は初耳だった。
面白そうだなと思い、後日あらためて調べてみた。
ざっくり説明すると、以下のような内容だ。
1.創造期(Creativity)
創業者がすべてを把握し、判断し、動かす段階。
少人数のうちは速く、強い。「自分でやる」ことが最大の武器になる。
→ リーダーシップ危機(Leadership Crisis):
人が増えるにつれ、創業者が判断と業務のボトルネックになる。
事業が個人の処理能力以上に広がらなくなる。
対応:
創業者が「自分でやる」をやめ、役割と責任を切り出す。
方向性を示す側に回り、組織を“指揮”する段階へ進む。
2.指揮の段階(Direction)
役割・目標・手順を定め、トップダウンで組織を動かす段階。
創業者一人に集中していた負荷は解消され、組織は拡大する。
→ 自立性の危機(Autonomy Crisis):
判断が上位に集まりすぎ、現場が指示待ちになる。
スピードと柔軟性が失われる。
対応:
判断権限を現場や管理職に委ねる。
トップは細部から離れ、意思決定を“委譲”する。
3.委譲の段階(Delegation)
現場やチームが自律的に判断し、自走する段階。
意思決定は速くなり、組織はさらに大きくなる。
→ 統制の危機(Control Crisis):
部分最適が進み、全体の方向性や一体感が崩れる。
対応:
共通ルールや基準を整え、全体を揃える仕組みを入れる。
自律した組織を“調整”する段階へ進む。
4.調整の段階(Coordination)
ルール・標準・管理機能によって、分散した組織をまとめる段階。
安定性と予測可能性は高まる。
→ 官僚制の危機(Red Tape Crisis):
管理が重くなり、判断と行動が遅くなる。
柔軟さが失われる。
対応:
ルールを目的に従属させ、例外や裁量を取り戻す。
部門を越えた“協働”へ移行する。
5.協働の段階(Collaboration)
信頼と対話を軸に、横断的に問題を解く段階。
形式より目的が優先され、スピードが回復する。
→ 次の危機:
内部のやり方をどれだけ磨いても、成長が鈍化する。
対応:
外部連携、新規事業、別の成長モデルを探る。
組織の枠そのものを広げる段階へ進む。
いかがだろうか。
「この規模まで来ると、だいたいここで詰まる」という意味で、それなりの精度を持った未来予測にも見える。
創業者や管理職にとっては、
知っているだけで心持ちがずいぶん変わるフレームワークだと思う。
また、管理職でなくとも、
よくある組織への不満――
「上司がダメ」「現場が動かない」「ルールが多すぎる/なさすぎる」
といった感情を、人の問題ではなく構造の問題として一段引いて見ることができる。
それだけでも十分な収穫だが、
私はこのモデルは組織論にとどまらないと感じた。
このモデルが示している本質は、たぶんこういうことだ。
・そのフェーズでは、それが正解だった
・しかし成長すると、昨日までの正解が今日の足かせになる
・「正しさ」には賞味期限があり、それを完成形だと思った瞬間に成長は止まる
より身近に感じてもらえるよう、ここからは私自身の体験を、このモデルに当てはめてみたい。
グレイナーの成長モデルとゴルフと私
――なぜ「それなりに当たっていた自己流」が、ある日すべてOBになるのか――
ゴルフを始めたばかりの頃。
フォームも理論も分からないのに、なぜかそれなりに当たっていた。
力いっぱい振る。
球は前に飛ぶ。
楽しい。
ところが、練習を重ねるほど当たらなくなり、飛ばなくなる。
「ちゃんと練習してるのに……」
それは自分のせいじゃない。
成長の構造だ。
1.創造期(Creativity)|ゴルフを始めた頃
見よう見まねで振り、フルスイングで前に飛ばす段階。
理論はなく、当たれば正解。迷いがない分、意外と当たる。
→ リーダーシップ危機:
当たる日と当たらない日の差が激しく、
なぜ良かったのか、なぜ悪かったのか分からない。
修正も再現もできず、感覚がボトルネックになり成長が運任せになる。
対応:
感覚だけに頼るのをやめ、型や理論を取り入れる。
スイングを”指揮”する意識を持ち、「考えて振る」ゴルフへ進む。
2.指揮の段階(Direction)|理論を入れ始めた頃
動画でフォームや理論を学び、チェックポイントを意識する段階。
スイングの理屈が分かり、ミスの理由もある程度言語化できるようになる。
→ 自立性の危機:
自然な感覚で振れなくなる。
チェックポイントが多すぎて身体が固まる。
結局、何を意識すればいいのか分からなくなる。
対応:
すべてを守ろうとせず、自分に合う要素を選ぶ。
判断を身体に”委ね”、「自分の型」を作り始める。
3.委譲の段階(Delegation)|自分の型ができた頃
自分に合った振り方やクラブが定まり、迷いは減る。
飛距離も伸び出し、スコアは一時的に安定する。
→ 統制の危機:
型が固まった分、ミスの出方も固定される。
風や傾斜など条件が変わると、弱さが以前よりはっきりと表に出る。
対応:
部分最適を疑い、全体を見直す準備に入る。
スイングを作る段階から、”調整”する段階へ進む。
4.調整の段階(Coordination)|管理し始めた頃
全体を俯瞰、客観視するため、
ヘッドスピード測定や動画分析を使い、
数値やデータを基準に調整する段階。
→ 官僚制の危機:
分析動画と数値を追いすぎることで、
スイング全体の流れが失われる。
フォームやミスは多少改善する一方で、
ここまで伸びてきた飛距離が落ち、元々あった良さが削られていく。
対応:
数字を目的から手段に戻す。
必要な意識だけ残し、シンプルに振る。
データとも感覚とも対立せず、両者と”協働”しながら振る段階へ進む。
5.協働の段階(Collaboration)|ショットが安定してきた頃
信頼(信じた理論)と対話(練習)を軸に、
フォーム・弾道・結果を行き来しながら判断できる段階。
形式より目的が優先され、飛距離が回復する。
→ 次の危機:
ショットだけを磨いても、スコアが伸びない。
対応:
アプローチ、パター、マネジメントや戦略を意識し、
ゴルフを「ショット」ではなく「組み立て」で捉え直す段階へ進む。
いかがだろうか。
きっと、どこかに心当たりがある人も多いと思う。
真摯に物事に取り組んでいると、
壁にぶつかり、時には心が折れそうになることもある。
だがそれは、あなたがダメだからではない。
グレイナーのモデルで言えば、
次の段階に進もうとしているサインなのかもしれない。
成長している証拠なのだと、少しだけ捉え直してもらえたら嬉しい。